タイガの原点
20歳そこそこの頃、俺は物流倉庫でフォークリフトのバイトをしてたんです。
ある日、白髪まじりのベテランドライバーが来ましてね。誰が見ても無理だろうって狭さのバースに、大型を入れ始めた。
一発じゃないんです。何度も切り返して、ミラーを覗いて、時には窓から顔を出して。焦らず、騒がず、ミリ単位で寄せていく。最後にピタッと収まったとき、俺、フォークの手を止めて見とれてたんですよ。派手さなんてない。でも、あれは間違いなく職人の仕事でした。
ところがその日、そのおやじさんが荷降ろしの最中に背中をやっちゃった。立ってはいられるし、運転もできる。でも、荷物はもう持てない。で、若かった俺が代わりに大型1台分、全部手降ろししたんです。
汗だくで、腕はパンパンで。でもね、不思議とその疲れが心地よかった。「ああ、俺はこの世界で生きていくんだろうな」って、なぜか思った。
あの日から俺には二つ、忘れられないものがあるんです。一つは、あの切り返しのかっこよさ。もう一つは、背中を押さえてうずくまる、おやじさんの姿。
だから俺は、この仕事が大好きで──同時に、この業界は変わらなきゃいけないと思ってる。バイト代を貯めて大型免許を取ったあの日から、ずっとです。


